Webデザイナーの将来性が有望なのは残り9年。未経験者は今が分岐点

Webデザイナーの将来性が有望なのは残り9年。未経験者は今が分岐点

誰目線でWebデザイナーの将来性を検証したか

対象読者は未経験からWebデザイナーを目指している方や、Webデザイナーとしてデビューして1,2年の駆け出しの方です。

Webデザイナーの将来性に関する記事はベテラン向けが多いのですが、この記事の主役は初心者の方々です。

これからの人たちの将来設計に役立つ範囲で、ややベテラン向けの目線も掲載してあります。

Googleトレンドについて

この記事では多くの統計と、Googleトレンドのデータも使います。Googleトレンドとは、Googleで最も検索回数が多かった月を100として、それと比べて他の月はどうだったかを推移として見せてくれるGoogle社の公式サービスです。

数値は、特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50 の場合は人気度が半分であることを示します。0 の場合はそのキーワードに対する十分なデータがなかったことを示します

Googleトレンド(※1

例えばWebデザイナーのGoogleトレンドはこのようになっています。

Webデザイナーの将来性を占うGoogleトレンドのデータ

Webデザイナーの検索数は、いったん下がった時期もありますが再び回復してきていると読み取れます。Googleトレンドだけを見るとWebデザイナーは将来性がある職種と言えそうです。

それでは果たして本当にWebデザイナーに将来性はあるのでしょうか。

  • 将来性があるの??あったとして無条件で喜べるの?
  • なぜWebデザイナーという仕事はなくなるかもと危惧されているの?
  • そもそも将来性って何?
  • 個人としては何をするべき?何を捨てるべき?

これらを一緒に押さえていきましょう。

そもそも将来性がないとはどういう状態か

Webデザイナーの将来性を語る前に、そもそも将来性がないITの職種とはどういうものでしょうか。具体的なサンプルがあります。

それがFlashデザイナーです。FlashというのはAdobe社が開発していたブラウザ上で高度な表現が実現できるツールで、ActionScriptというプログラミング言語が使われていました。一時期は国策として政府が運営するプログラミング教育のサイトがFlashで作られるほど隆盛を誇っており、フリーランスのFlashデザイナーの月額の契約金額が100万を超えるケースも多くありました。

現在Flashがどうなっているか、Googleトレンドをご覧ください。

将来性がない職種

ピークを迎えた数年後には滅亡の一途をたどっています。どうしてこうなったかは割愛しますが、とにかくFlashデザイナーの将来性は潰えました。

もし私の娘が「パパ、将来Flashデザイナーになりたい」と言ってきたら全力で止めます。

将来性があるとは何か

将来性のない職種は、やがて誰も検索しなくなる職種です。

この事例をもとに「将来性がある」という言葉をこう定義しておきます。

  • WEB業界の最新動向から分析して、今後5年ではなくならないこと
  • 求人や案件の需要が高く、これから伸びる仕事であること

この2つを満たしていれば将来性があると言えるとしましょう。

なぜWebデザイナーはなくなると危惧されているか、5つの理由

Webデザイナーの存在を脅かす5つの力が存在します
Webデザイナーの存在を脅かす5つの力が存在します

Googleトレンドを見る限りでは検索インタレストは上昇傾向にあるWebデザイナーですが、なぜ「Webデザイナーはなくなる」という不安があるのでしょうか。

ネットの調査とマイナビ出版の調査をもとに、5つの不安理由をピックアップしました。

不安① ローコードやノーコードでWebデザイナーという仕事はなくなる?

機械学習やディープラーニングなどの発展により、弱いAIも強いAIも登場してきました。コードを書くという作業をオートメーションする時代の流れに勝てるのでしょうか。
機械学習やディープラーニングなどの発展により、弱いAIも強いAIも登場してきました。コードを書くという作業をオートメーションする時代の流れに勝てるのでしょうか。
【まず結論】ローコード、ノーコードによって減る仕事もあるが、増える仕事もある。波に乗るか、波が来ないところに移動するか検討しよう。

ローコード革命、ノーコード革命というワードが流行っています。コーディングしなくてもアプリやサイトを作ることが可能という趣旨のワードです。また無料ホームページサービスも増えてきました。

こういった背景から、Webサイト制作という仕事自体がオート化されてWebデザイナーは過去になるのではないかという懸念があります。

確かに仕事が減る一面はあります。しかし、逆に仕事が増えるという一面もあるので大丈夫です。

また、代替できない作業もかなり多いので平気です。詳しく書きます。

ローコード・ノーコード ≠ ローデザイン・ノーデザイン、だから平気

コーディングを省略できても、どうデザインすればいいかを省略することはできません。WEBサイトの作り方を学ぶとよく分かります。

Webサイト制作の手順はこちらに公開してあるので、詳しくは参照してください。カンタンにまとめると、まずサイトの目的とターゲットユーザーを明らかにして、それに合致した印象やカラーや文字や配置やコンテンツやイラストなどを組み合わせていきます。これを企画とかプランニングと呼びますが、すでにこの時点でコーディング云々ではありません。

Webデザインをするとは、人間を扱う仕事です。会計処理のようにフルオート化できるわけではないのです。

減る仕事がある一方で増える仕事もあるから平気

実はローコードでWebサイトを制作できるようになった成功例はすでにあります。WordPressという仕組みです。

WordPressでは最初からWebサイトがほぼ完成している状態からスタートします。それをカスタマイズしていきます。

WordPressの登場で、ゼロからHTMLとCSSでフルスクラッチで作り上げていく(いわゆる静的な)サイトの案件は激減しました。

それからもうすぐ20年です。今やWordPressのカスタマイズ案件はクラウドソーシングを賑わせています。

これから成長するローコード・ノーコードでも似たようなことが起きるでしょう。

無料ホームページサービスは脅威か?

WixやJimdo、StoresやBASEといったサービスを聞いたことがあるでしょうか。無料でホームページを作成できて、それなりにかっこいいデザインが用意されています。StoresやBASEなどはECショップ機能も充実しており、誰でも手軽にネットショップが作成できます。

これによってECショップをオウンドメディアとして作りたいというニーズは減ったことは確かです。しかし、やはりすべてのニーズがなくなったわけではありませんし、新しい仕事も生まれています。「BASEの運営代行しますよー」とか「Storesの設定だけやってあげますよー」というお仕事です。

また、無料ホームページを使って成功したからこそ、次はオウンドメディアを持ちたいニーズが触発されたりしています。

ローコード・ノーコードに対する身の振り方

こうした歴史を見ても明らかなように、これから来るローコード・ノーコードの波に飲まれるのではなく、波に乗って自分の持ち味にすることが可能です。

正社員志向の方へのアドバイス

この波に対してどうアクションを起こすのかは、会社の経営方針に大きく左右されるので、上司や先輩から情報収集しましょう。

フリーランス志向の方へのアドバイス

大きく分けると次の2つの身の振り方があります。

  • ローコード、ノーコードのサービスに熟達して、付加価値を生むWebデザイナーになる
  • ローコード、ノーコードによって消滅した客層は捨てて、別の客層を相手にする(またはそもそも影響ない)

どちらでもいいです。自分の行きやすい道でOKという自由さがWebデザイナーのウリです。得意な方法で勝負してください。

ノーコードは確かにノーデザインではないな、と体感したい方へ

1時間と3万円ほどを投資できるのであれば、今すぐ体感できます。

TCDというWordPressの有料テンプレートがあるので、これを買ってください。

そしてレンタルサーバーを借りて(これは無料体験あり)、WordPressを自動インストールします(ワンクリックです)。そして購入したTCDテンプレートをカスタマイズしてみてください。

ノーコードでカスタマイズできます。しかし、購入サイトで見たおしゃれなデモサイトは再現できないと思います。

ノーコードはノーデザインという意味ではないな、ということを体感できるはずです。

(念の為にフォローしておくと、TCDテンプレートは優秀なのでしっかり学べば鬼に金棒です。TCDの有料テンプレートを使って納品OKなライセンスも用意されているので、これだけで仕事を回している人も結構います。)

不安② Webデザイナーは飽和してる?

Webデザイナーって、すでに飽和しているのでは?という疑問は多くの人が持っています。その実際はどうなのでしょうか。統計をもとに解説します。
Webデザイナーって、すでに飽和しているのでは?という疑問は多くの人が持っています。その実際はどうなのでしょうか。統計をもとに解説します。
【まず結論】Webデザイナーはまだ飽和していない。採用に乗り気な企業も多いので、今なら始めてもいい。

マイナビ出版の雑誌Web Designing(2021年2月号)で発表されているWebデザイナー白書によると、Webデザイナーの採用を現在進行系でしている、または人材採用が必要だとしている制作会社は8割を超えます。(下図参照)

まだまだ人手不足ですので、いまから始める人もチャンスは多いです。

しかし、どんどん増えているのも確かです。

Webデザイナーは決してカンタンな仕事ではないですが、IT人材の中では基礎スキルだけで始められることもあり、参入障壁が低い職種です。

クラウドソーシングの台頭によって営業もしやすくなっています。フリーランス同士でチームを組む文化も育ってきています。

始めるなら早めが吉です。

減少してもいる(Reスキル、キャリアアップ)

社会は今、第四次産業改革を迎えています。これによって国策としてReスキルという考えが促進されており、補助金制度も整っています。これは何かというと、従来型のスキルで活躍している人たちに「最先端技術を学びなおしてみな!?」と呼びかける政策です。

Webデザイナーでいうと、Webサイトを作るだけではなくアジャイル開発やDevOpsといったシステム開発で活躍できるデザイナーにスキルアップするケースがReスキルです。

また、ディレクションやマネジメント能力を伸ばすことで、より待遇の良いWebディレクターなどにキャリアアップすることでも、現場のWebデザイナーは減ります。

減った分だけ、新しい人手が必要になるという循環が存在しています。そこに未経験Webデザイナーの勝機があります。

Webデザイナーから先端IT人材にReスキルするって現実的なの?

「例えばAIとWebデザインって、あまりにも畑が違いすぎませんか?本当にReスキルする人いるの?」と思った方のために事例を1つ。

最近Webサイトの右下あたりに「あなたのご質問にAIスタッフが自動でお答えします」みたいなチャット欄を観たことがありますか?

お問い合わせ対応のコストを削減するために、様々な企業が自動のチャット接客サービスをウェブサイトに導入し始めています。

Webデザイナーは、この導入を頼まれることがあります。するとカスタマイズも発生したりします。JavaScriptでカスタマイズできるサービスであればスキル的にもWebデザイナーと親和性が高いので、四苦八苦して対応します。

これを皮切りにAIチャットの仕組みに興味を持って、WebデザイナーからAIを作る側に回りたいという動機が生まれたりします。

これがReスキルへの第一歩です。

不安③ 副業が増えたら仕事が取れなくなる?

副業が解禁され、Webデザイナーと副業が驚異的に相性がいいことが発覚しました。未経験者にとって、これは絶体絶命……なのでしょうか。
副業が解禁され、Webデザイナーと副業が驚異的に相性がいいことが発覚しました。未経験者にとって、これは絶体絶命……なのでしょうか。
【まず結論】副業が本格的に浸透したら、フリーランスの人はその分仕事が取りづらくなる。しかしまだ副業は完全推奨ではないので、今のうち実力と固定客を作ろう。

副業が解禁されて、Webデザイナーが副業に向いている職種であることが明らかになりました。これによってクラウドソーシングでも副業Webデザイナーがチラホラ案件を獲っていくケースが見られます。

4人に1人は副業経験があるというデータもあります。(Webデザイナー白書2020)これは他業種に比べて非常に多いです。

正社員志向の方へのアドバイス

正社員としてWebデザイナーを目指しているのであれば、副業による脅威は少ないでしょう。

会社に慣れたら副業してしまいましょう!

ただし、副業がどの程度推奨されているかは会社によって異なります。たとえば会社で購入したライセンスを使って副業をしてしまうと、権利関係がややこしかったり、社外秘の資産を副業に活用してしまうリスクなどが生じるので、慎重な会社が多いのです。

副業したいのであれば、会社の方針を事前に調査しましょう。

フリーランス志向の方へのアドバイス

純粋にWebデザイナーの数が増えるようなものですから、小型の在宅ワークやリモート案件は取りづらくなるでしょう。

しかし、絶望ということではありません。まだまだ副業は完全にオープンではありません。

本職と同じ仕事は副業にしてはいけない、という会社も多いのが現実です。つまり、WebデザイナーなのにWebデザイン以外の副業をしなくてはならない会社がまだまだ多いのです。

副業がWebデザイン業種に本格的に浸透し、腕利きのWebデザイナーがお小遣い稼ぎに乗り出す前に、実力と固定客をつけておきましょう。

また、大型案件や常駐案件は副業では無理があるので影響は少ないでしょう。

不安④ 企業はウェブサイトくらいもう持ってるのでは、いまさら新規で作るの?

どの企業もホームページくらい持ってる時代、そもそも仕事なんてないのでは?そんな疑問もあります。
どの企業もホームページくらい持ってる時代、そもそも仕事なんてないのでは?そんな疑問もあります。
【まず結論】Webサイトは更新が必要なものだから、案件は常にある。

新規も作りますし、改修もします。WEBサイトは育児のようなもので、産むのも大変ですが、育てるのも大変です。

また業者を変えるというケースも多くあります。ウェブ制作会社は業者変えさせないような裏技も駆使して、流出防止を図るほどです。(裏技については割愛します……)

さらに、広告用のバナー制作なども含めると非常に多くの案件があります。電通の調査(※2)によると、2020年はコロナ禍で日本の広告費は全体的に減ったがインターネット広告費は伸びた、ということが分かります。しかも3年連続で伸びています。

インターネット広告費(出典:株式会社電通 2020 年 日本の広告費)
インターネット広告費(出典:株式会社電通 2020 年 日本の広告費)

細かいデータですが広告費という列だけ見ればOKです。「総広告費」が2020年は激減している一方で、「インターネット広告費」は増えていることが分かります。

いかに変化に強い業種なのかが分かるデータです。

不安⑤ 安い案件が多いと聞きました。とても食っていけないのでは?

給料が安すぎて生活ができないという怖い噂を聞いたことがありますか?ある一面だけ見ると真実です。
給料が安すぎて生活ができないという怖い噂を聞いたことがありますか?ある一面だけ見ると真実です。
安い案件は未経験者を育てる土壌になっているから、最初は積極的に挑戦しよう。

正社員志向の方へのアドバイス

未経験からのスタートだと、地域によってはかなり低い年収になります。全体的には次のような統計が出ています。

発表元更新日正社員
求人ボックス2021年1月6日462万円
doda2020年12月7日363万円
マイナビ転職2020年4月488万円
マイナビAgent2017年頃441万円

より詳しくは、こちらに地域ごとのWebデザイナー年収格差も含めてまとめてあるので参考にしてください。

フリーランス志向の方へのアドバイス

クラウドソーシングの案件は安い、という情報を聞いたことがあるでしょうか。安いです。なぜならクラウドソーシングにある案件は下請けや孫請けが多いからです。

しかし、これは未経験からスタートする人にはチャンスです。ベテランWebデザイナーでは見向きもしないような案件が転がっているわけですから、経験を積むにはもってこいです。

安い案件は未経験者を育てる土壌にもなっているのです。

ただし、生活が切羽詰まっている状態で未経験からフリーランスのWEBデザイナーを目指しているなら食っていけない可能性が高いです。

知人の紹介などで数件はまとまった報酬額の案件も来るかもしれませんが、継続性は不明です。生活に余裕がないのであれば、デザイン関連の経験がない状態からフリーランスのWEBデザイナーに挑戦するのは非推奨です。

どういう場合はWEBデザイナーはやめておいたほうがいいか、まとめてあります。

5つの不安理由まとめ

不安視されている5つのポイントを見てきました。

一点ずつ一言でまとめておきます。

  • ローコード、ノーコードによって減る仕事もあるが、増える仕事もある。波に乗るか、波が来ないところに移動するか検討しよう。
  • Webデザイナーはまだ飽和していない。採用に乗り気な企業も多いので、今なら始めてもいい。
  • 副業が本格的に浸透したら、フリーランスの人はその分仕事が取りづらくなる。しかしまだ副業は完全推奨ではないので、今のうち実力と顧客を作ろう。正社員としてWebデザイナーを目指しているなら、心配無用。
  • Webサイトは更新が必要なものだから、案件は常にある。
  • 安い案件は未経験者を育てる土壌になっているから、最初は積極的に挑戦しよう。

結論、Webデザイナーに将来性はあるし有望な仕事。ただし条件付き。

最初に定義した将来性があるという状態を再掲します。

  • WEB業界の最新動向から分析して、今後5年ではなくならないこと
  • 求人や案件の需要が高く、これから伸びる仕事であること

5つの不安ポイントを見ても、今後5年でなくなることは考えづらく、さらに伸びていく仕事であることが伺えました。

これだけでもWebデザイナーの将来性はあると言えそうです。

ここからはWebデザイナーの将来性がどのくらいあるのか検証しつつ、将来性はあるけど油断ができないということもお伝えしていきます。

Web業界の今後の動向

ネットで公開されている求人数をカウントしてみました。直近一ヶ月のものだけでも次のような件数があります。

データ収集期間:2021年2月5日から2021年3月5日
雇用形態:正社員、派遣、契約社員、業務委託、アルバイトなど
対象:Webデザイナーの求人や、Webサイト制作関連の案件
求人(案件)検索結果数在宅OK未経験OK在宅OK &
未経験OK
indeed4,626件518件525件55件
クラウドワークス950件950件82件82件

直近一ヶ月でこれだけの数があります。

Googleトレンドの傾向

GoogleトレンドでWebデザイナーの検索インタレストが再上昇していることは分かりました。Webデザイナーと親和性の高い職種についても掲載しておきます。

UIデザイナーの将来性
UIデザイナーの将来性
フロントエンドエンジニアの将来性
フロントエンドエンジニアの将来性
Webディレクターの将来性
WEBディレクターの将来性

どれも右肩上がりですね。今後の求人増加&案件増加に期待が持てます。Webデザイナーからキャリアアップ・スキルアップした先も需要の高い仕事であるというのは見通しが明るく良いニュースですね。

アメリカにおける(Computer) Graphic Designerの将来性

ことITにおいては日本をリードするアメリカの状況もみておきましょう。アメリカの傾向から日本のこの先数年の傾向が分かることも多々あります。

英語だとWebデザイナーはグラフィックデザイナーやコンピューターグラフィックデザイナーと呼ばれています。

graphic designerの将来性

米国においても注目は高まっているようです。やはり今後の需要増は間違いないでしょう。

なくなるどころか、これから伸びる仕事

この記事を読む前はWebデザイナーはなくなるかも、と不安だった方もいたと思います。しかし、Webデザイナーはこれからの仕事です。未経験から始めやすいIT職種です。オンライン学習環境なども整ってきているので、興味があるなら今すぐチャレンジしてください。当サイトでも無料で独学カリキュラムを公開しています。

学習は、まず独学です。挫折したらWebデザインスクールなどを検討します。最初に独学でプチ挫折した人のほうが、Webデザインスクールを上手に使いこなせます。最初はWebや書籍で学習を試みましょう。

コロナ禍で見えたWebデザイナーの働きやすさ

これからを占う以上、避けては通れないのがウィズコロナという状態での働きやすさです。ここでは再び雑誌Web Designingのデータを引用します。

Webデザイナーの仕事が、コロナ禍のような緊急事態にも、比較的働きやすい仕事であると証明されました。
Webデザイナーの仕事が、コロナ禍のような緊急事態にも、比較的働きやすい仕事であると証明されました。

フリーランスなど個人の製作者の約8割、制作会社でも約7割がコロナ禍でリモートワークを実施しているという驚愕の柔軟性。

コロナが落ち着いていた10月末あたりでも6割〜8割がリモートワークを継続しているという点も驚きです。かくいう私も週5でフルリモートでした(いまも継続中)

育児や介護にも通ずる働きやすさ

voice
現在5歳児を育てています。リモートワークはコロナ前から行っていました。最初の緊急事態宣言時は幼稚園もお休みでしたので、子供が家におり仕事と育児を物理的に両立しなくてはならず、精神的に苦痛でした。
解除後は幼稚園が再開したため、仕事に集中できる環境が戻りました。また、週に1回は本社に行っていましたがそれが月に1回になりました。ほかは全てZOOMによる打ち合わせに変わりました。それに伴い社内で使うコラボツールを刷新して、全員リモート前提の働き方にガラリと変わった点が印象的です。
ソイラテ編集部 mao_k
voice
普段は介護をしながら空いた時間でクラウドワークス経由のお仕事をチラホラこなしています。高齢者と同居しているためコロナへの警戒心は本当に強かったです。子どもたちにも鼻うがいまでさせて、喉うがいは必ず紅茶でした(紅茶は殺菌力が強いので)。
同居している母の要介護レベルは低いため、できるだけ接触も控えて家でもマスクをしていました。もしリモートでなかったら……と思うと、心配性の私には耐えられたか疑問です。まだまだ続きますが……。仕事と介護と育児の3つをコロナ禍で成立させる生き方は、私に限ってはWebデザイナーしかなかったなと痛感しています。By やまーゆ
ソイラテ編集部 やまーゆ

将来有望なれど、今後もどんどんWebデザイナーは増えて、やがては……

さて、ここまでは将来性に関する検証や、働きやすさという点からWebデザイナーの魅力を見てきました。

所々書いてきましたが、ここからは本格的に警鐘を鳴らすターンです。

みなさんは経産省の「IT 人材需給に関する調査(※3)」をご存知ですか?様々なメディアで引用されており、「IT人材は2030年にはスーパー不足していますよ!」「だからこの商品買いましょう」「だからこのスクール入りましょう」という主張の根拠に使われています。

しかし、内訳をしっかり読むとWebデザイナーに関しては微妙です。調査内容の詳しい説明は脚注にPDFへのリンクを載せておくので、興味があるかたはP34〜P36あたりをご覧ください。特に大切なのは下記図です。

需要と供給の差(出典:経済産業省の委託事業として、みずほ情報総研株式会社によるIT人材受給に関する調査)
需要と供給の差(出典:経済産業省の委託事業として、みずほ情報総研株式会社によるIT人材受給に関する調査)

読み解くのが難しい図です。分かりやすく加工したいところですが、こういう資料は発表元の物をそのまま使うというルールがあります。Webデザイナーを志す方は覚えておきましょう。(分かりやすく説明できない言い訳……)

この図のヘッダー部分を観てください。Reスキル率という項目の下に「先端IT人材」と「従来型IT人材」というワードがあります。先端IT人材とはAIとか自動運転とかVRみたいな最先端の技術を取り扱う人たちです。したがってWebデザイナーは従来型IT人材です。

サラーっと従来型IT人材の列を眺めてみると、所々に△が付いていますよね。これは供給過多という意味です……。

はい、供給過多です。2030年のいくつかあるシナリオのうち決して少なくない可能性で、従来型IT人材は飽和します。最大32.2万人も余ります。もちろん人手不足になる予想もあり、その場合は最大32.7万人の人手不足です。

約32万人余りがでるか、約32万人足りないか、そういう未来の入り口が今です。

Webデザイナーとしては1人1人が自分の将来性を高める活動をしていく必要があるといえます。

需要の高いWebデザイナーになるには?

絶望する必要は全くありません。希望のあるデータもあります。

こちらは情報処理推進機構という独立行政法人が現役のIT人材に対して行った「スキルアップやキャリアアップのために取り組んでいること」の調査です。

自主的に取り組んでいること(出典:IT人材白書2020 今こそDXを加速せよ)
自主的に取り組んでいること(出典:IT人材白書2020 今こそDXを加速せよ)

ここでも先端IT従事者と先端IT非従事者という区分けがされています。Webデザイナーは先端IT非従事者に該当します。

一番下をご覧ください。

「特にない 28.2%」とあります……。この方たち、なんとなく2030年に余っちゃいそうな香りがしませんか?

特にないから何もしてない、というわけではないかもしれません。忙殺されているのかもしれません。

しかし、今から始める人にもチャンスはあることが伺えます。ウサギとカメのレースではありませんが、じっくり学習を続ける習慣を身に着けて、将来性を高めていきましょう。

あなたの需要を高める活動アイデア一覧

上の図を割合の多い順に並べ直してみました。

  1. Web上での情報収集(55%)
  2. 書籍、雑誌による学習(43.2%)
  3. 研修やセミナー等への参加(17.6%)
  4. 資格取得のための勉強(16.4%)
  5. オンライン講座による学習(12%)
  6. 勉強会やコミュニティ等への参加(11.6%)
  7. サンプルプログラムやアプリなどの実装・試作(6.4%)

まずは先達が行っている上記の施策を試してみましょう。全部やって全部続けるのではなく、とりあえずかじってみて自分に合ったスタイルを見つけることが大切です。

各施策の具体策を掲載しておきます。ただし並び順は、未経験者・駆け出しWebデザイナーにおすすめ順です。

① Web上での情報収集

  • 仕事中・学習中に調べ物をしていて参考になったブログがあれば、RSSリーダーに登録しておく。RSSリーダーはfeedlyがおすすめ。ブログが更新されると教えてくれます。スマホが便利です。
  • このサイトでも独学用のカリキュラムを無料公開しています。ゼロからWebデザイナーになるために必要なノウハウが体系的にまとまっています。

② オンライン講座による学習

  • ドットインストール、プロゲートなどは有名なオンライン学習サービスです。こちらで学んで挫折した方がよくメンタリングに来ますが、やはりプチ挫折している人のほうがしっかり学べる傾向にあります。
  • Udemyという動画サイトがおすすめです。普段は数万円で売られている動画セミナーが、1,500円前後で購入できるキャンペーンが月に1,2回はあります。そのタイミングで買いましょう。
  • オンラインスクールも、独学してプチ挫折したあとならおすすめです。通学生のスクールに通う必要はありません。Webデザインはオンラインで学びやすいジャンルです。1ヶ月から3ヶ月の時間的投資と、10万から30万ほどの金銭的投資が必要です。自習+定期的にビデオ通信で学習相談をするスタイルが流行です。

③ サンプルプログラムやアプリなどの実装・試作

  • 模写という練習方法があります。HTMLとCSSの基本を身に着けてから出来る練習方法です。Google Chromeなどの検証ツール機能を使って、お手本サイトのそっくりさんを作る作業です。Webデザイナーとしての将来性を高めてくれる、確かな学習方法です。この方法も独学カリキュラムで無料公開しています。

④ 書籍、雑誌による学習

  • 書籍はどんどん出ます。誰かのおすすめ書籍はすでに古い可能性がありますので、Amazonなどで最近出版されたもので評価の高いものを選びましょう。ただし、書籍はジャンルを限定しているので、1冊に必要な全てがまとまっている本というのは希少です。分からないジャンル、もっと深く知りたいジャンルが見つかってから選べばいいでしょう。まずはWebで独学です。
  • 雑誌は未経験者にはおすすめできません。見ていて可愛かったり、鋭い意見が載っていて面白いですが、基本を身に着けてからでOKだと思います。

⑤ 勉強会やコミュニティ等への参加

  • connpasというサイトを見てください。IT系のオンライン勉強会サイトです。初心者向けの勉強会がまとまっているページはこちらです(※4)。将来性を高め合える仲間との出会いも期待できます。

⑥ 研修やセミナー等への参加

  • ストアカやカフェトークといったオンラインセミナーがあります。どのセミナーがいいか選ぶのが大変です。
  • メンターと直接契約できるメンタというサービスもあります。こちらもどのメンターがいいか選ぶのが大変です。
  • セミナーではありませんが、たくさんいる講師から自分に合った人を選べるスクールもあります。

⑦ 資格取得のための勉強

  • いきなり資格に走る必要はありません。資格は基礎を身に着けてから、スキルアップのために勉強しましょう。Webデザイナーは資格が必要な仕事ではないので、資格からスタートするのは間違いです。実力をつけるほうが先決です。

まとめ

スキルという面だけ見ても、Webデザイナーは様々な仕事と親和性が高い職種です。

  • HTMLとCSSなどは、そのままフロントエンドエンジニアでも必要なスキルです。
  • PhotoshopやXDといったデザインツールはUIデザイナー・UXデザイナーなどでも役立ちます。
  • Webデザインはメンタリングも流行っているので、数年後には教える側に回ることも可能です。(スクールと提携すれば時給2,000円くらいもらえるので、1日4時間を週5日やれば16万ほど稼げます。在宅でお小遣い稼ぎニーズが大きい方ならアリ)
  • Webサイト設計はウェブマーケティングとの親和性も非常に高いため、コンサルやSEO専門家などに転身するケースも多々あります。

IT業界への足がかりとして、Webデザイナーは良い選択です。プログラミングに特に強い興味を持っているわけではないなら、Webデザイナーから始めてみましょう。

そのためにはまず独学、駄目ならスクールです。基本を身に着けてから書籍や動画、セミナーや勉強会などでスキルアップして将来性を高めましょう。

フリーランス志向の方は、クラウドソーシングにも早めに登録しておきましょう。

転職エージェントやフリーランスチームへの加入は、独学やスクールのカリキュラムをある程度こなしてからでいいでしょう。

最後のまとめとして、Webデザイナーの将来性は有望です。今後、これから伸びる仕事言えます。しかし2030年頃にはかなり増えていることが予想されるので、早めに挑戦を始めましょう。